暑さが厳しくなる季節がやってきました。
児童発達支援や放課後等デイサービスの現場では、子どもたちの安全はもちろん、職員のみなさまの健康管理も大切です。特に支援活動やお出かけ時など、屋外や暑い室内環境で活動する場面では、熱中症対策をしっかり行いましょう。
さらに、2025年6月からは 企業での熱中症対策が義務化 され、施設においても一層の意識向上が求められています。
本コラムでは、児発・放デイの現場で押さえておきたい熱中症対策のポイントをご紹介します。
目次
熱中症対策が義務化へ(概要)

2025年6月1日より、職場での熱中症対策が法律で義務化されます 。これは、近年の猛暑による職場での熱中症による労働災害が増えているためです 。特に以下の環境での作業が対象となります。

- 暑さ指数(WBGT値)が28℃以上、または気温が31℃以上の環境
- 上記の環境で、継続して1時間以上または1日4時間以上の作業が行われる現場
会社は、定期的な暑さ指数(WBGT値)の測定や涼しい休憩場所の確保、休憩時間の調整、応急処置体制の整備などを行います 。
熱中症警戒アラート・特別警戒アラートを活用しましょう

環境省と気象庁は、熱中症の危険性が高い日に「熱中症警戒アラート」、さらに危険な暑さの日に「熱中症特別警戒アラート」を発表します 。これらは2025年4月23日から10月22日まで運用されます 。
アラートが発表されたら…
- できるだけ外出を控え、暑さを避ける。
- 室内ではエアコンを適切に使い、室温を調整する。
- こまめに水分・塩分を補給する。
- 熱中症特別警戒アラート発表時は、運動や外出、イベントの中止・延期なども検討しましょう。
これらの情報は、環境省の熱中症予防情報サイトやテレビ、ラジオの天気予報で確認できます。
施設で意識したい基本の対策
室温管理
エアコンや扇風機を活用し、室温を快適な温度に保ちましょう。
すだれやカーテンで直射日光を避ける工夫も効果的です。
こまめな水分・塩分補給
子どもたち、職員ともに のどが渇く前に 水分補給を促しましょう。スポーツドリンクや塩飴なども活用を。
服装の工夫
通気性・速乾性に優れた服装を選び、帽子の活用や日よけ対策も取り入れましょう。
暑さを避けた活動計画
外出や屋外活動は、気温の高い時間帯(11〜15時)を避けて実施。
天気予報や「熱中症警戒アラート」を参考に、予定変更の判断も柔軟に行いましょう。
子どもたちは、体温調整がまだ未熟な場合や、自分の体調不良をうまく伝えられないこともあります。いつもより 顔が赤い・汗が多い・ぐったりしている などの変化に早めに気づきましょう。
少しでも異変を感じたら、すぐに涼しい場所へ移動し、必要に応じて応急処置や医療機関の受診を検討しましょう。
もし熱中症かな?と思ったら(応急処置)

「いつもと違う」と感じたら、熱中症を疑いましょう。
1.涼しい場所へ避難
まず、涼しい場所へ移動しましょう。
2.服をゆるめる・体を冷やす
服を脱がせ、風通しを良くし、体を冷やしましょう。特に首筋、脇の下、太ももの付け根など、太い血管が通っている場所を氷のうなどで集中的に冷やすのが効果的です。濡れタオルを体にあて、扇風機やうちわで風を当てるのも良い方法です。
3.水分・塩分補給
意識がはっきりしていて自力で水分が摂れる場合は、塩分を含んだスポーツドリンクや経口補水液などを補給しましょう。
4.すぐに報告・連絡
熱中症担当者や現場管理者に連絡し、指示を仰ぎましょう。
5.病院へ
症状が改善しない場合や、意識がない、けいれんしているなどの重症な症状がある場合は、すぐに119番通報し、医療機関へ搬送しましょう。救急車を待つ間も応急処置を継続し、一人にしないように見守りましょう。

公的な情報も活用しましょう
最新の情報を常に確認することも、熱中症予防ではとても大切です。下記の公的な情報サイトは、現場での判断や職員間・保護者への周知に活用できます。ぜひご参考ください。
環境省 熱中症予防情報サイト
URL:https://www.wbgt.env.go.jp/
暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートの情報がリアルタイムで確認できます。
屋外活動や外出支援の判断にも活用できます。
厚生労働省「熱中症対策」ページ
URL:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/index.html
家庭・学校・職場などあらゆる場面での熱中症対策の基本情報がまとめられています。
施設内研修や保護者への情報共有にも役立ちます。
今年の夏も厳しい暑さが予想されます。熱中症は正しい知識と行動で予防できる気象災害です。「これくらいなら大丈夫」と過信せず、早め早めの対策を心がけて、職員のみなさまと子どもたちが安心して過ごせる夏にしていきましょう!