2024年(令和6年)の報酬改定において算定の用件が変わった専門的支援加算。「実施加算」と「体制加算」の2段階評価へと変更されましたが、必要な人員配置や単位数の上限など、条件を確認しておく必要があります。今回は、2024年の改定にあわせて専門的支援実地加算について詳しく解説します。
目次
放デイにおける専門的支援実施加算とは?
専門的支援実施加算は、理学療法士等により個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合に算定できる加算です。
もともと「専門的支援加算」として設けられていた項目が、2024年(令和6年)の報酬改定により「実施加算」と「体制加算」の2段階で評価を行うことになりました。
- 専門的支援体制加算
- 専門的な支援を提供する体制の整備に対する加算
- 専門的支援実施加算
- 専門人材による個別・集中的な支援の計画的な実施に対する加算
改定前の専門的支援加算に該当するのが「体制加算」、前の特別支援加算にあたるのが「実施加算」と考えるとよいでしょう。
専門的支援実施加算の算定要件と単位数は?
厚生労働省の資料によると、加算の算定には「専門的な支援を計画的に提供する」と記載されていますが、具体的にどのような条件があるのでしょうか?
単位数の規定と合わせて見ていきましょう。
算定要件
専門的支援実施加算の算定要件は下記の通りです。
①加配人員や基準人員のうち、理学療法士等を1名以上配置
理学療法士等は常勤換算でなくても算定可能です。
②専門的支援実施計画の作成・支援
個別支援計画を踏まえて、理学療法士等が専門性に基づいた評価・計画に則った「専門的支援実施計画」を作成し、計画に基づいて支援する必要があります。
この支援計画は5領域のうち、特定または複数の領域に重点を置いて作成するものとされています。
③専門的支援は個別での実施が基本
5名程度までの小集団での実施や、理学療法士等とは別の職員(基準人員)を配置したうえでの2つまでの小集団の組み合わせによる実施も可能とされています。
なお、小集団での実施においては個々のニーズを踏まえた支援が前提となります。
④専門的支援には30分以上を確保
短時間の支援は加算の対象とならず、少なくとも30分以上の支援時間を確保することが求められています。
なお、その日の児童の支援時間すべてを専門的支援の時間とする必要はありません。
⑤計画の見直し
計画の実施状況や対象児の課題を把握し、必要に応じて計画の見直しを行います。
計画の作成、見直しを行った際には、対象児と保護者に説明のうえで同意を得るようにします。
⑥対象児ごとの支援記録を作成
対象児ごとに実施内容を記載した支援記録を作成・保管する必要があります。
加算を受けるには、30分以上の時間を確保した専門的支援実施計画を立てるとともに、支援記録を作成する必要があることに注意しましょう。
加算の対象となる「理学療法士等」とは?
専門的支援実施加算とは、理学療法士等の有資格者によって、計画的に個別・集中的な専門的支援を行った場合に算定できるものです。
この場合の支援者には、理学療法士だけでなく下記の有資格者が対象となります。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 保育士
- 児童指導員
- 心理担当職員(心理学修了等)
- 視覚障害児支援担当職員(研修修了等)
なお、保育士・児童指導員は5年以上児童福祉事業に従事している方が対象です。
単位数
放デイにおける専門的支援実施加算の単位数は150単位です。
ただし、月の利用日数に応じて算定の限度回数が定められています。抜け漏れなく記録しておくようにしましょう。
放デイの限度回数
・利用日数が月6日未満:限度回数2回
・利用日数が月6日以上12日未満:限度回数4回
・利用日数が月12日以上:限度回数6回
児童発達支援の限度回数
・利用日数が月12日未満:限度回数4回
・利用日数が月12日以上:限度回数6回
また、放デイと児発では限度回数の規定が異なります。
専門的支援実施加算の注意点
最後に、こども家庭庁が出している「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A」をもとに、専門的支援実施加算に関する注意点をまとめます。
Q.専門的支援実施計画にはどんな項目を記載する?
A.専門的支援実施加算の算定には、個別支援計画を踏まえて下記の項目を記載することを想定しています。
- 当該専門職によるアセスメントの結果
- 5領域との関係の中で、特に支援を要する領域
- 専門的な支援を行うことで、目指すべき達成目標
- 目標を達成するために行う具体的な支援の内容
- 支援の実施方法
Q.加算に必要な理学療法士等の配置は外部からされた者でもよい?
A.専門的支援実施加算の算定では、理学療法士等を常勤換算で配置する必要はないものの、事業者と雇用契約を結んで事業所に配置されている者などを指します。
そのため、事業所と雇用契約のない派遣の者が専門的支援を行った場合、専門的支援実施加算を算定できません。
Q.複数の事業所がある場合、算定回数の上限は事業所間で通算されず、各事業所ごとにカウントしてよいか。
A.月あたりの算定回数の上限は、事業所ごとに上限回数をカウントしてもよいものとされています。
参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001205321.pdf
参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について/こども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/hoshukaitei
専門的支援実施加算を確実に算定するには
専門的支援実施加算の算定にあたっては、専門的支援実施計画を策定したうえで、支援回数
や利用日数などを記録して集計する必要があります。
利用日数によって算定上限もあるので、抜け漏れがないよう実績記録票に記録し、正しく請求をかけるようにしましょう。
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