【徹底解説】放デイの時間区分と報酬単価表|算定時間数の書き方と2024年改定ルール
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2024年4月に障害福祉サービス等報酬改定がされました。時間区分の算定ルールは「平日と休業日で上限が違う」「計画と実績が少しでもズレると算定できない」など、見落としやすいポイントが多く、気づかないうちに誤請求になっているケースが増えています。実地指導で指摘を受ければ、悪意がなくても返還請求につながる可能性があります。
この記事では、「時間区分の全ルール」を、報酬単価表と具体例を使って分かりやすく整理しました。最後まで読むことで「どこでミスが起きやすいのか」「どう管理すれば防げるのか」が明確になり、請求トラブルを未然に防ぐための実践的な知識が身につきます。
目次
【2024年改定】放デイの時間区分変更点と基本報酬の仕組み
改定以前の基本報酬算定の考え方は、支援時間の長さに関わらず、1日ごとに定額で算定していました。
2024年度の障害福祉サービス等報酬改定により、現在は事前に支援の計画を立てたうえで、支援時間に応じた区分を設定するようになっています。
まずは、基本報酬における時間区分の仕組みを理解しておきましょう。
改定前の基本報酬の区分と改定後の時間区分の違い
2024年4月より、従来の「人員配置に基づく区分1・2」が廃止され、新たに支援時間の長さに応じた「時間区分1~3」が導入されました。
以前はスタッフの資格保有率で基本単価が決まっていましたが、改正後は計画された支援時間で単価が決まります。
また、質の高い支援を担保するため、30分に満たない短時間の支援は、原則として報酬が付かなくなりました。ただし、環境に慣れるために短時間から始める必要があるなど、市町村が認めた場合に限り、特例として算定が認められます。
以前は、こどもが事業所に来所すれば、日数に応じて定額で報酬がもらえる形でしたが、改正後は「一人ひとりに必要な時間を算出し、計画に基づいて支援をする」という形に変化しています。
改定により「支援時間重視」へ転換した背景
2024年度の報酬改定は、障害児支援を「量より質」へ転換することを目的としています。
2012年の制度一元化以降、事業所や利用者が急増しました。以前の制度ではこどもが来所した日数に応じて定額で報酬が発生していましたが、支援時間の長さに関わらず同じ報酬が支払われることもあり、内容や質にばらつきが出てきたことが課題でした。
このような背景から、こども一人ひとりに合った計画的な支援を重視し、時間区分の見直しが行われています。
報酬単価表で見る放デイの時間区分|区分1~3と延長支援
基本報酬は支援を行った時間の長さによって、区分1~3に分かれますが、平日か学校休業日かによって、算定できる区分の上限が決まっています。
ここでは、定員10人以下の事業所を例に、時間区分と単位数のおおよその目安を確認してみましょう。
【時間区分と報酬単価の目安(定員10名以下)】
| サービス提供時間 | 区分名称 | 平日の算定 | 学校休業日の算定 | 単位数(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 30分未満 | 原則不可 | × | × | – |
| 30分~1.5時間以下 | 時間区分1 | 〇 | 〇 | 574単位 |
| 1.5時間超~3時間以下 | 時間区分2 | 〇(上限) | 〇 | 609単位 |
| 3時間超~5時間以下 | 時間区分3 | × | 〇(上限) | 666単位 |
| 5時間以上 | 延長支援加算 | 〇 | 〇 | 別途加算 |
※単位数は地域区分や人員配置、法改正などの細かな条件によって変わります
利用時間30分未満は原則算定不可のルール
放デイの利用時間が30分未満の場合は、放課後等デイサービスとして十分な支援を行うことが難しいと考えられているため、原則として基本報酬は算定できません。
ただし、次のようなやむを得ない事情がある場合は例外があります。
- 放デイを利用し始めたばかりで、環境に慣れる必要がある場合
- 近くに通所できる事業所がなく、遠方から通うためにやむを得ず支援時間が短くなる場合
- 障害児本人または訪問先施設の事情による場合(当日の体調不良や訪問施設側のスケジュールの都合など)
上記のようなケースで、市町村との事前協議のうえで認められた場合に限り、時間区分1として算定できる可能性があります。事業所の判断だけで請求するとトラブルにつながるため、必ず事前に自治体へ相談しましょう。
また、個別支援計画の中にも、短時間の支援が必要な具体的な理由と必要性を明記する必要があります。必ず漏れがないようにしましょう。
平日:30分~1.5時間の区分1 / 1.5時間超~3時間以下の区分2
平日は学校が終わってから帰宅までの時間が短いため、算定できる基本報酬の上限は「時間区分2(1時間30分超〜3時間以下)」と決められています。
例えば、午前授業などで午後1時から午後5時までの4時間支援を行っても、平日であれば区分3ではなく「区分2」として請求します。
間違えて平日に区分3で請求すると、後から返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。
学校休業日限定:区分3(3時間超~5時間以下)
区分3は、長い時間を使って、より丁寧な支援や集団での療育を行うことが想定されています。
次のような学校休業日には、平日より長い支援が可能なため「時間区分3(3時間超〜5時間以下)」を算定できます。
- 土曜日・日曜日・祝日
- 夏休み・冬休み・春休みなどの長期休業日
- 学校の創立記念日
- 学校行事などの振替休日
- 台風・インフルエンザなどによる臨時休校の日
特に注意が必要なのは、学校の創立記念日や振替休日、臨時休校の日です。カレンダー上は平日のため分かりにくく、学校ごとに休業日が異なるため、同日に利用したこどもの中に区分2と区分3が混在する可能性があります。
【例】平日に、午前授業のAさんと、学校休業日のBさんが利用した場合
Aさん:午前授業で午後1時から午後5時の4時間利用
→基本報酬(区分2:3時間まで)+延長支援加算(1時間分)
Bさん:運動会の振替休日に、午前10時から午後2時の4時間利用
→基本報酬(区分3:3時間~5時間)のみ
手書きや表計算ソフトだけで管理するとミスが起こりやすいため、学校休業日の情報をシステムで管理したり、書類提出前に複数人で確認したりするのがおすすめです。
支援時間が区分の上限を超える場合の延長支援加算
学校がある平日は区分2の上限である3時間、学校休業日は区分3の上限である5時間を超えた場合、延長支援加算を算定します。
以前は事業所の営業時間の前後に支援を行った場合に、延長支援加算を行っていましたが、2024年度の報酬改定以降は時間区分の上限を超えて支援を行った場合、その超えた時間に応じて加算を算定します。
ただし、延長支援加算を算定するには、次の条件を満たす必要があります。
①個別支援計画への明記
延長支援が必要な理由と具体的な延長支援時間(原則として1時間以上)を個別支援計画に記載し、保護者の同意を得る必要があります。
②職員配置
延長支援を行う時間帯に、2名以上の職員配置が義務付けられています。
配置される2名のうち1名以上は児童指導員、保育士、児童発達支援管理責任者である必要があります。
利用児童が10名を超える場合は、さらに10人(またはその端数)増えるごとに1名を加えた配置が必要で、医療的ケア児を受け入れる場合は看護職員等の配置も必要です。
【例】延長支援時のこどもの人数:職員の人数
- 1人〜10人: 2名
- 11人〜20人: 3名(2名 + 追加1名)
- 21人〜30人: 4名(2名 + 追加2名)
③運営上の要件
- 営業時間:学校休業日などの算定には、運営規程に定められた営業時間が6時間以上である必要がある(平日の延長支援には適用なし)
- 実施記録:延長支援時間の記録を、日々のサービス提供記録等で行う必要がある
- 営業時間外の扱い:運営規程に定められた営業時間外に延長支援を行った場合でも、要件を満たせば加算の算定が可能
【延長支援加算の算定方法に関する注意点】
- 延長支援は、原則として「実際に行った延長時間」の区分で算定するが、計画で定めた時間を超えて支援が長くなった場合は、計画時間の区分で算定する
- 利用者都合で延長時間が短くなり1時間未満でも、30分以上支援していれば算定可能
- 支援時間の前後で延長支援を行った場合は、合計した時間で区分を判断する
放デイの算定時間数の書き方とサービス提供実績記録票のポイント
2024年度の報酬改定以降に請求業務を行ううえで、特に重要となる書類がサービス提供実績記録票と個別支援計画書です。
記録と請求する報酬の区分にずれが出ないよう、正しい書き方を職員が理解しておく必要があります。
ここでは、算定時間数の考え方と、記録の仕方を解説します。
計画時間と実績にずれがあるときの算定ルールの違い
報酬を算定する際の基本となるのは「個別支援計画書で定めた標準的な支援時間」ですが、当日の状況によって、計画していた時間と実際の利用時間にずれが生じることもあります。
この場合は、実績が計画より短くなった理由に応じて、算定の考え方が変わります。
【実績より計画時間が短くなった場合】
- 利用者の体調不良、家庭の事情、学校の授業延長、道路渋滞による送迎の遅延など、事業所に起因しない事情で支援時間が短くなった場合
→個別支援計画で定めた区分で算定できます。支援時間が30分未満でも、算定可能です。
サービス提供記録等に、実際の支援時間と理由を記載することを忘れないようにしましょう。
- 人員不足や営業時間の短縮など、事業所側の理由で短くなった場合
→実際に支援を行った時間で算定します。事業所都合の場合は支援時間が30分未満の場合、基本報酬の算定自体ができません。
【実績より計画時間が長くなった場合】
利用者都合・事業所都合に関わらず、基本的には個別支援計画に定めた時間の区分で算定します。
ただし、学校の短縮授業など、あらかじめ長時間になる日が想定される場合、具体的な内容を個別支援計画に記載していれば、長い方の時間区分で算定可能です。
【延長支援加算について】
延長支援も基本報酬の考え方が適用されます。利用者都合で計画よりも支援時間が短くなったとしても、基本報酬が計画時間で算定される状態であれば、その後の延長支援は実際に要した時間に基づいて算定できます。
ルールの認識を誤ったまま請求すると、後から返還を求められる可能性があるため、支援時間が変わった理由は必ず記録で残しておきましょう。
送迎時間はサービス提供時間に含まれない点に注意
2024年度の報酬改定により、送迎に要する時間は、支援の提供時間には含まれないことが明確になりました。
基本報酬の対象になるのは、個別支援計画に基づいて事業所等で発達支援を提供している時間です。
送迎車の運行や発着の対応などは、基本報酬ではなく「送迎加算」で評価しましょう。
個別支援計画の記載例と時間区分の書き方
個別支援計画書には「時間区分2」などの名称だけでなく、「3時間」や「2時間30分」などの具体的な標準的支援時間を明記する必要があります。
【記載例】月曜日・水曜日 15:00〜17:30(2時間30分)
このように曜日・時刻・支援時間を具体的に記載しましょう。
もし、実際の利用時間と個別支援計画のずれが続く場合は、実態に合わせて計画を見直す必要があります。
複雑化した時間区分の管理・請求業務はICTで効率化
基本報酬の時間区分ルールは細かく、管理が複雑です。手書きや表計算ソフトなどで管理し続けると、職員の負担は大きくなります。業務を効率化し、こどもたちと向き合う時間を確保するために、ICTの活用することも一つの選択肢です。
アナログ管理による時間計算ミスと返還請求リスク
手書きや手計算で時間を管理していると、転記・計算ミスが起こりやすくなります。
行政による確認や実地指導でこのようなミスが見つかると、故意でなくても不正請求と判断され、「返還請求」として、報酬を過去にさかのぼって返すよう求められることがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、ミスが起こりにくい管理の仕組みを整えることが大切です。
放デイ向けICTシステム「コノベル」で請求業務を適正化
このようなリスクを減らす方法の一つに、放課後等デイサービス向けICTシステム「コノベル」があります。
コノベルでは、次のような機能で利用管理の業務をサポートします。
- 利用申請:保護者が申請した内容を自動で施設カレンダーに反映するため、予定の集計や転記も不要です。申請履歴も残るため、トラブルも起こりにくくなります。
- 実績記録表:日々の利用予定や実績データを自動で反映します。保護者アプリ上で電子承認ができるので、送迎や退室時の押印は不要です。アラート機能で書類の作成漏れや承認漏れを防ぎます。
- 入退室打刻:こどもたちの入退室をタブレットなどで簡単に打刻でき、実績時間は実績記録表に自動で反映します。打刻をすると保護者アプリに自動で通知が送信され、安心にもつながります。
- 児童基本情報管理:利用者・保護者の基本情報を一元管理し、受給者証や提出書類もクラウドに保存可能です。受給者証の有効期限が近付くと、アラートが表示されます。
ほかにも欠席・遅刻・早退連絡、メッセージ配信機能など、保護者とのコミュニケーションがスムーズになる機能や、個別支援計画書、活動報告などの記録も、コノベルひとつで管理できます。
無料プランもありますので、ぜひ詳細をご覧ください。
まとめ:時間区分を正しく把握して記録を整えよう
放課後等デイサービスの時間区分は、個別支援計画に基づき、支援時間の長さと学校休業日かどうかによって分かれます。ルールが複雑なので、正しく把握して基本報酬を算定するように気をつけましょう。
【参照】
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改訂事項の概要(こども家庭庁)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.1 (令和6年3月29日)(こども家庭庁)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.2 (令和6年4月12日)(こども家庭庁)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援)に関する Q&A VOL.3(令和6年5月2日)(こども家庭庁)
障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関する Q&A一覧(こども家庭庁)